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亭主関白な彼氏と結婚したらどうなる?変わる人と変わらない人の差

これ、亭主関白ってことでいいんですかね。

そう言って彼女がスマホをこっちに向けたのは、去年の秋の交流会の二次会。カフェのいちばん端の席だった。画面には彼氏からのLINEが縦に並んでる。今日の夕飯は和食で。白米は少なめ。味噌汁、昨日と同じやつは無しで。

彼女は三十代前半。交際は三年目。来年には籍を入れたいらしい。

うちのイベントで二次会の終盤になると必ずこの手の話が出てくるんだよね。そして亭主関白という言葉を選ぶ人には、はっきりした共通点がある。本当はモラハラという単語が頭をよぎってる。でもそれを口に出したら、自分の三年が全部まちがいだったことになる気がして怖い。だから少し昭和っぽくて、どこかコミカルな響きのするこっちの言葉に逃がす。逃がしてる自覚がある人も、ない人もいる。

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亭主関白は家事の話じゃない。決定権の話です

昔の亭主関白には取引があったのよ。夫が外で稼いで、妻が家の中を全部回す。そのかわり夫は台所に口を出さない。役割を分けたぶん、それぞれの領域には主導権があった。

令和のそれは取引が壊れてる。共働きで、家事は妻が六割以上、なのに決めるのは彼。形だけ残って中身が抜けてるの。

だから言い切ります。家事をやらない男が亭主関白なんじゃない。あなたが決めたことを、あとからひっくり返す男が亭主関白。旅行の宿をあなたが選んで、いいねと言われて、予約直前に俺はこっちがいいと言い出す。あの瞬間に起きてるのは意見の交換じゃなくて、決定権の回収なんだよね。

現場でいちばん見分けやすいのは、外面のよさでした

彼氏を連れてくる参加者もいる。そこで観察できることが、けっこう多い。

ある回に来た男性は、スタッフには丁寧だった。名刺を出して、荷物を持って、笑顔も柔らかい。感じのいい人だなと最初は思ったし。ただ、彼女がドリンクを頼もうとした瞬間に、こいつ甘いのしか飲めないんで、と先に答えた。彼女が仕事の話を始めたら、その話長くなるからいいって、と途中で畳んだ。テーブルは笑ってた。彼女も笑ってた。でもまばたきの回数が急に増えて、グラスの底に残った氷をストローでカラカラ回し続けてたのを覚えてる。

外でいい人ほど、家の中で強い。これ、逆じゃないの?と思うでしょ。逆じゃないんだよ。外で評価を保つ緊張を、いちばん近い人のところで降ろしてるだけ。

予定を彼女が先に決めると不機嫌になる。ありがとうを言わない。お前の考え方は甘い、と説明を始める。あなたのためだからね、が語尾につく。ここまで揃ったら、もう性格じゃない。

悪意がないから、いちばん厄介なの

なんでそうなるのか。父親がそうだった家庭で育った男性は、それを普通だと思ってるから疑わない。彼にとっては家庭の景色であって、価値観だと認識すらしてない。

もうひとつ、これが現場で拾った実感なんだけど、細かく管理する男性ほど自分に自信がない。

二十代後半の男性参加者が、飲みの終わりごろにぽろっと漏らしたことがあってさ。ちゃんとしてないと、いつか見限られる気がして。彼女に対して服装から食事から連絡頻度まで指示してた人の口から出た言葉が、それ。心臓がドッと鳴ったよ。彼の中では、管理は愛情のつもりだったんだよね。

強い人は指示なんて出さなくていい。不安な人ほど確認と管理を増やす。ここを理解しないまま彼を悪人として責めても、話は一ミリも進まないの。

三年付き合った人には、主語の入れ替わりが起きる

いちばんぞわっとしたのは、相談してくる女性たちの文法が似ていること。

彼が怒った、じゃなくて、私が怒らせた。彼が予定を潰した、じゃなくて、私の伝え方が悪かった。悩みの主語が、いつのまにか彼から自分へ移ってる。

好きな食べ物を聞かれて、数秒黙る人もいた。自分の好みより先に、彼の嫌いなものが浮かぶから。友達と会う回数が減って、服の系統が地味になって、意見を口にする前に彼の顔色を計算する〇コンマ数秒が挟まるようになる。

これ、自己肯定感が下がったという曖昧な話じゃない。判断の主導権を、日常のこまかい場面で少しずつ譲り渡した結果です。あなたが弱いからでも、我慢強すぎるからでもないの。

結婚したら直るか。直らないよ、はっきり言うけど

籍を入れれば落ち着く、子どもができれば変わる、家を買えば責任感が出る。全部、現場で何度も聞いて、何度も裏切られてきた仮説なんだよね。

結婚は関係の中身を変えない。逃げ場を減らすだけ。

悪化しやすいタイミングもはっきりしてる。同居を始めた直後。妊娠と出産。彼の転職や降格。親の介護が始まったとき。共通してるのは、彼が自分の力を疑う瞬間だってこと。不安が上がると、管理が強くなる。さっきの話とつながるでしょ。

産後三ヶ月で復帰イベントに来た女性の話が、いちばん刺さってる。育休で収入がゼロになった月から、レシートの確認が始まったって。ベビー服を買った日に、これ本当に必要だった?と聞かれたらしい。自分の稼ぎで買ってたときは何も言われなかったのにね。

変わった人には、三つの条件が揃ってた

それでも変わった男性を、私は何人か見てる。ただし条件が厳しい。

まず、本人が自分の言動を問題として認識していること。彼女に言われたから直す、ではだめ。俺のこれはまずい、と自分の口から出てくるかどうか。ここが分岐点。

次に、第三者を入れることを拒まないこと。カウンセラーでも、共通の友人でも、姉でもいい。二人だけの密室で解決しようとする関係は、力の強いほうの結論に必ず着地するの。

最後に、謝罪のあとに行動が変わること。しかも期限内に。ごめんは言うけど翌週には元通り、を三回繰り返した人は、四回目も同じでした。

結婚二年目で夫が自分から夫婦カウンセリングを予約した、というケースがあってね。今は家計を共有シートで管理して、家事は当番表。奥さんいわく、けんかはするけど話は通じるようになった、と。予約を取ったのが夫本人だった、この一点がすべてだったと思ってる。

逆に、これが出たら期待するのをやめていい

謝罪がごめん、でもで始まる人。指摘すると自分が被害者になる人。人前と二人きりで態度がまるっきり違う人。あなたの友達や実家をさりげなく下げる人。そして、話し合おうという提案そのものを面倒くさがる人。

最後のやつが決定的。話し合いを面倒がる相手は、結婚しても面倒がる。婚姻届はあなたの交渉力を一ミリも上げてくれないんだよ。

籍を入れる前に、詰めておくべきこと

お金を誰が管理して、いくらまでは相談なしで使えるのか。家事は何をどっちがやるのか、感覚じゃなく作業名で。実家とどのくらいの距離で付き合うのか。あなたの仕事をどうするのか。子どもは何人で、いつごろか。

ここで彼が、そのうち考えよう、で流したなら、もう決定する時期だから。

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