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別れた後の妊娠発覚。元彼への伝え方と復縁のリアル

終電間際のホームで、袖をつかまれた。

うちのイベントに三回ほど顔を出していた二十七歳の子。その夜はやけに静かで、乾杯のグラスにも口をつけていなかった。改札を出たところで、消え入りそうな声がした。三週間前に別れた人の子かもしれない、って。

握られた指先が氷みたいに冷たくて、こっちの肩がびくっと跳ねた。

サークルを回していると、こういう夜がたまにあるんだよね。

避妊していても妊娠は起きるし、別れたあとに発覚するのは時系列として何ひとつ不思議じゃない。

目次

頭がぐるぐるする夜、動かしていいのは病院の予約だけ

今日決めなきゃいけないことと、来月まで待てることがごちゃ混ぜになると、人は眠れなくなる。妊娠週数だけは待ってくれないから、余計にね。頭の中で全部が同時に鳴ってる感じ。

先に片づけるのは、産婦人科の予約ひとつだけ。週数がわからないと、選べる道の数も期限も見えてこない。最終月経の初日から数えるやつです。市販の検査薬に線が出た時点では、まだ何も確定していないの。

彼に言うかどうかは、そのあと。親に言うかどうかも、そのあと。順番を間違えると、いちばん重たい判断を、いちばん情報のない状態でやることになる。

ちなみに親に言えない子、めちゃくちゃ多い。うちで相談を受けた中でも、彼より先に親の顔が浮かんで固まる子のほうが多かった。無理に言わなくていいよ。にんしんSOSや自治体の女性健康支援センターは匿名で電話できるし、産む産まないを決めてから連絡しなきゃいけないルールもない。迷ってる最中に、迷ってると言うためにかけていい場所だから。

伝える前に決めるのは、たった一つ

どう伝えたらいいですかと聞かれるたび、私が返すのは同じ問いかけ。

彼に、何をしてほしいの?

知らせるだけでいいのか。お金がほしいのか。認知がほしいのか。それとも、戻ってきてほしいのか。ここが自分の中でぼやけたまま連絡すると、会話が高確率でぐちゃぐちゃになる。

現場で見てきた失敗、だいたい同じ形をしてるんだよね。ほんとは戻ってほしいのに、それを言うのが怖くて、養育費の話から入ってしまう。相手は身構える。交渉モードに切り替わる。気づいたら二人とも、いちばん言いたかったことを言えないまま解散。

あれ、私こんな話がしたかったんだっけ…

連絡する前に、メモアプリに一行だけ書いてみて。私は彼に◯◯してほしい。それだけでいい。書けない日は、まだ連絡しなくていい日です。

LINE、電話、対面。現場でくっきり差が出たのはここ

予告なしで会いに行った子ほど、うまくいってない。これは断言するね。

別れた直後の元彼って、心の扉が閉まりきってない中途半端な状態なの。そこへいきなり対面をぶつけると、相手は逃げ場をなくして防御に入る。その場しのぎの言葉が出る。責任取るから、なんて口約束が生まれて、三日後には既読スルー。ほんとによくある。

着地がきれいだった子は、たいてい二段構えだった。

まずLINEで、話したいことがあるから時間を作ってほしい、とだけ送る。内容は書かない。日時が決まってから、電話か対面で本題を出す。文字だけで妊娠を伝えると、返信が来るまでの数時間で相手の頭の中に勝手な物語ができあがっていて、届く頃には結論だけが固まってるの。これがいちばん厄介。

ただし、相手が怒鳴る人だったり、過去に手が出たことがあるなら話は逆。安全が最優先なので、その場合は文字で残す一択にして。やり取りのスクショは消さないでね。日付の残った文面は、あとで認知や養育費の話になったときに効いてくる。

温度は、求めるものに合わせて変える

知らせるだけで関わりたくないなら、感情を極限まで薄くする。事実と、あなたに求めることは何もないという一文。長い説明を足すと相手に会話の余地を渡すことになるから、あえて削るのがコツ。

認知や養育費を求めるなら、責める言葉をひとつも入れない。ここ、ほんとに効きます。あなたのせいで、が混ざった瞬間、相手は謝るか反撃するかの二択に追い込まれる。子どもの権利の話だったはずが、二人の勝ち負けにすり替わっちゃうんだよね。

戻りたい気持ちがあるなら、それは報告と同じ日に言わない。同じ日に乗せると、彼の耳には子どもを盾にした要求として届く。届いてしまう。悔しいけど、そうなの。

そして、返信が来ないパターン。既読がついたまま三日、一週間、二週間。スマホを裏返して置いても、通知音の幻聴がする夜が続く。

音信不通になったら、あなたから追いかける必要はもうない。連絡した記録さえ残っていれば、認知調停という道は生きてる。相手の住所がわからなくても手はあるし、費用が不安なら法テラスの無料相談の枠が使える。追いかけるのは制度の仕事で、あなたの仕事じゃないから。

妊娠をきっかけに復縁したい。それ、責められることじゃない

妊娠がわかった瞬間、この子がいれば戻れるかも、と一瞬でもよぎった自分を、あとになって責める人が多すぎる。ホームで泣いていた彼女も、しばらくしてぽつりと言ってた。あの時ちょっと期待した自分が気持ち悪い、って。

気持ち悪くないよ。人間だもん。

足元がすとんと抜けたとき、いちばん近くにあった手すりに掴まろうとするのは、生き物としてまっとうな反応でしょ。問題は、思ったことじゃない。そこから何を実行するか。

で、ここからは炎上覚悟で言い切ります。妊娠を復縁のカードとして切ると、ほぼ壊れる。

うちの参加者で実際に戻れた三組を見返しても、共通点は全部同じだった。妊娠の話と、二人の関係の話を、別々の日に、別々のテーブルでやってる。子どもの件は子どもの件として先に片づける。そのうえで、改めて自分たちがどうしたいかを話す。この順番を守った子だけが、戻ったあとも続いてた。

逆に、産むから戻ってきて、を一息で言った子たちは半年もたなかった。三人とも。相手の中に、選ばされたという記憶が残るからだと思ってる。恋愛って、選んだ実感がないと自分の物語にならないんだよね。

いちばん覚えておいてほしいのはここ。復縁できなくても、子どもの権利は一ミリも減らない。認知も養育費も、二人がヨリを戻したかどうかとは無関係。恋が終わっても、そこは別枠でちゃんと残ってる。

四人の、決め方

産んで一人で育てることを選んだ子。イベントの受付を手伝ってくれていた保育士さん。妊娠八週で相手に連絡して、そのまま無視された。それでもう気持ちが切れた、と後日けろっと笑ってたのが忘れられない。今は子どもの寝顔をLINEのアイコンにしてる。決め手は、彼のいない人生を想像したときのほうが息がしやすかったから、だそう。

産んで認知を取った子。飲み会で隣になった営業職の子は、相手が電話に出なくなってから法テラスに駆け込んでる。無料相談の枠で、胎児認知という制度をそこで初めて知ったらしい。生まれる前に認知してもらう手続きね。法律の紙が一枚あるだけで夜眠れるようになった、と本人は言ってた。

復縁して一緒に育てている子。バーベキュー企画の常連だったカップル。彼女は報告の日、養育費も認知も何ひとつ要求しなかった。予定日だけ伝えて帰った。二週間後に彼のほうから電話が来て、そこから話し合いが始まったんだって。焦って詰めなかったのが効いた、と振り返ってる。

産まない選択をした子もいる。彼女は今も、後悔していないとは言わない。でも納得はしてる、と言う。理由は、誰にも相談せずに決めなかったから。産婦人科と、匿名の相談窓口と、信頼できる友達ひとり。三か所に声を出してから決めた。

四人を並べて思うのは、後悔しなかった人がいるわけじゃないってこと。納得できた人がいる、それだけ。そして納得の材料になっていたのは、選んだ道の正しさじゃなかった。決める前に、自分の外側にいる誰かへ一度でも声を出したかどうかだよ。一人で悩まないでね!

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