イベントの受付に立ってると、その人のことはすぐわかった。
会話がヘタなわけじゃない。むしろ逆。話は面白いし、頭の回転もキレッキレ。国立大を出て、外資で働いて、年収は同世代の男性より上。なのに、そのテーブルだけ、男性陣がじりっと後ろに体を引いていくの。イスの背もたれに、背中を預けるみたいにして。あの空気、今でも自分の背中で覚えてる。
「賢い女は嫁にするな」
ネットでこの言葉を見て、胸の奥がヒヤッと冷たくなった人、けっこう多いんじゃないかな。わかるよ、その感覚。長所だと信じてた部分が、恋愛では地雷なんじゃ…って足元が揺れるやつ。
でもさ。何百組って男女を、手の届く距離で見てきて、これだけは言い切れるんだよね。選ばれてないのは、賢い女じゃない。賢さの向ける先を、ちょっとミスってる女。
賢い女ほど、なぜか恋で空回りする理由
マキさん(仮名・34歳・コンサル勤務)って人がいてね。
うちのイベントで初対面の男性と話してて、盛り上がってた。ように、見えた。彼が仕事の話を振ると、マキさんは一瞬で要点を掴んで、鋭い質問を返す。これ、仕事なら無敵の武器でしょ。会議室なら、彼女が一番デキる人。
ところが恋の場だと、この最強装備が、まるっと裏目に出る。
相手の男性が「この前こんな案件があってさ」と語り始めた瞬間、マキさんは0.5秒で着地点を読み切っちゃうの。そして、待てない。「あー、それって要は、上を納得させたかったって話ですよね」。合ってる。完璧にね。だからこそ、相手の口が、ふっと閉じる。
彼は、話したかったんだよ。きれいな結論じゃなくて、そこに辿り着くまでの、グダグダの過程を。
賢い人って、非効率が苦手じゃん。最短ルートで正解に行きたくなる。でも恋愛の会話って、遠回りの雑談それ自体がゴールだったりするから、ここで完全にバグるわけ。効率を上げれば上げるほど、逆に距離が縮まらない。皮肉だよねぇ。
イベント現場で何度も見た、地雷ポイント
一番よく見るのが、正しちゃうクセ。
男性が知ったかぶりで、ちょっとズレたウンチクを語る場面ってあるでしょ。あれね、賢い女性ほど、その場でサラッと直しちゃう。悪気なんてゼロで。「あ、それ去年から制度変わってて、今は違いますよ」って。
言われた側の男性の顔、見たことあるかな。笑顔のまま、目の奥だけが泳ぐの。一瞬の沈黙。テーブルの温度が、すっと下がる感じ。
彼のプライドを守れ、なんて言うつもりはないよ。ただね、正しさを取りにいったその一秒で、せっかく温まってた空気が、パキッと割れる。この因果関係だけは、頭の隅に置いといて損しない。
先回りも、本当に多い。相手が言い終わる前に「つまり、こういうことでしょ」。会話のラリーを、自分でスマッシュして終わらせちゃうんだよね。
マウントも厄介。本人にその気が1ミリもないぶん、逆にタチが悪い。実績とか知識って、隠そうとしても、袖口からこぼれ落ちるみたいに、勝手ににじむから。
で、これが個人的に一番切ないんだけど、一人で完結してるオーラ。
「私、別に結婚できなくても平気だし」。強がりだって、こっちはわかってる。でも男性の目には、門が固く閉ざされた城に映るの。誰も、閉まった城のベルはわざわざ鳴らさないでしょ。守りを固めた城壁の内側に、飛び込もうとする物好きって、そういないんだよ。
賢さは、捨てなくていい。向きを変えるだけ
ここ、めちゃくちゃ大事だから、ちゃんと言うね。バカなフリ、しなくていいから。
というか、あれ完全に逆効果だと思ってる。頭の悪いフリで釣った相手と、この先何十年も生きるの?想像しただけで、ゾッとしない?偽装した自分を好きになられたところで、それはもう、逃げ場のない檻でしかないから。
やることは、真逆なの。その賢さを、相手を負かす方向から、相手を深く読む方向に、くるっと180度回すだけ。
会議でフル回転させてる、その分析力あるでしょ。それをまるごと、目の前の彼が何を大切にして生きてる人なのか、を読み解くほうに注ぐ。彼が結論より過程を味わいたいタイプなら、最後の一音まで聞ききる。答えがわかってても、あえて質問を差し出す。彼が一番気持ちよく喋れる相槌の設計図を、あなたのその頭脳で引く。
彼に、この人といると自分デキる男かもって錯覚させられたら、もう勝ち。しかもそれ、嘘じゃないしね。彼の良さを本気で引き出せる女って、賢くなきゃ務まらないから。
これね、頭が良くなきゃできない、めちゃ高度な芸当だよ。鈍い人には、逆立ちしても無理なやつ。
実際にさ、さっきのマキさん、これに気づいてから、するっと変わったの。やったのは、結論を先に言わず、最後まで黙って聞く。ほんとに、それだけ。半年くらい経って、涼しい顔で「彼氏、できました」って報告に来たときの、あのちょっと得意げな口角(笑)。あれは忘れらんないなあ。
大人の賢い女が、ちゃんと出会える場所
はっきり言うけど、大人数の婚活パーティーは、賢い大人の女性にはあんまり向いてないと思ってる。あの場は、パッと見の若さと、数分の第一印象で勝負が決まりがちだから。次々に席が回転していく中で、あなたの知性が伝わりきる前に、無情なブザーが鳴る。良さを出しきれないまま、はい次、っていう、あの消化不良感。
じゃあ、どこならいいの?って思うよね。
共通の目的とか関心でつながる、少人数の集まり。読書会でも、ワインの会でも、社会人の勉強会でも、なんでもいい。会話の中身であなたを見てもらえる場なら、あなたの賢さは、一気に強力な武器へ化ける。数分じゃ伝わらない魅力が、数時間かけてじわっと沁みていくから。
相性のいい男性のタイプも、現場を見てると、くっきりしてる。自分の世界をちゃんと持ってて、心に余裕のある人。あなたが優秀でも、それを脅威じゃなく、シンプルに面白いと感じられる人。こういう男性ほど、上っ面の若さより、会話の深さに惹かれていく。だから年齢は、敵じゃなくて、むしろ味方になってくれる。
反対に、あなたの賢さに萎縮したり、いちいち張り合ってくる男性ね。あれは彼の器の問題であって、あなたの落ち度じゃ、まったくない。そこで自分をわざわざ小さく見せる必要、これっぽっちもないよ。ただ、合わないだけ。次いこ、次。
年を重ねた賢さは、若さより強い武器になる
20代の、若さ一発勝負の土俵では、埋もれて見えなかった魅力ってあると思う。
でもね、30代、40代と進むにつれて、盤面がガラッと変わってくる。落ち着いた大人の男性ほど、見た目の一瞬のきらめきより、一緒にいて肩の力が抜ける会話や、対等に語り合える相手を、心から求めるようになるから。そこでようやく、あなたの賢さが、正当なレートで評価される日が来る。ワインと同じで、寝かせた年月のぶんだけ、深みを増していく価値だってあるんだよね。
「賢い女は嫁にするな」
この言葉に怯えて、自分をちょっとずつ削ってきた時間が、もしあるなら。それはもう、今日で終わりにしていいと思う。削るんじゃなくて、向きを変える。賢さは、恋の邪魔者なんかじゃない。使い方を覚えたその瞬間から、これ以上ないくらい頼もしい武器に化ける、そういうやつだから。

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