イベントの片付けをしてたら、参加者の女性がドアの前で足を止めてさ、小さい声でこぼしたの。彼、優しいんですけど、一緒にいるとなんかつかれちゃって…って。
恋愛相談で持ち込まれる悩みの中でも、なよなよした男は恋愛対象になるのか、付き合っていいのかってのは、相手を責めたいわけじゃないと思うんだ。本当はもっと別のところがざわついてる。
優しい男と、なよなよした男は別物
優しい、草食系、気が弱い、なよなよ。ぜんぶ似て見えて中身が違う。
優しい男は、自分の意思を持ったうえで相手を立てられる人。草食系は、ガツガツしないだけで芯がある人もいる。気が弱いのは緊張の問題で、慣れれば出せたりするんだよね。じゃあ、なよなよは何かっていうと、判断を相手に預けっぱなしの状態。どこ行く?なんでもいい。何食べたい?君に合わせるよ。一回なら気遣い。毎回だと、丸投げじゃん。
気が弱い男なんて、現場で何人も化けるの見たよ。最初ガッチガチで目も合わせられなかった子が、通ううちに自分から仕切りはじめる。緊張がほどけただけ。中身に芯はあったんだよね。なよなよはそこと違って、芯の置き場所そのものを相手に渡しちゃってる状態。だから、ほどけば済む話じゃない。預けた決定権を、自分の手に引き取る作業がいるんだ。
イベントでね、男性参加者がよく言うの。俺、相手に合わせるんで優しいほうだと思います、って。悪気はゼロ。でもそれ、優しさの顔をした責任の引き渡しだったりするんだよなあ。決定を渡された側は、毎回ぜんぶ自分の頭で考える。店も、日程も、次に会う口実も。最初は楽しい。だんだん、片方だけ働き続ける構図になる。
心理の世界に、決定疲れって言葉があってさ。人は選択を繰り返すほど判断力がすり減っていく。デートのたびに女性側が全部背負うと、楽しいはずの時間が、静かに作業へ変わる。これがなよなよ男との関係で女性が消耗していく正体。嫌いになったわけでもないのに、なぜか重い。その違和感の出どころ、たぶんここなんだよ。
女性が黙って離れていく、あの瞬間
さっきの彼女の話。
付き合って数ヶ月、彼はずっと優しかったらしい。怒らないし、否定もしない。理想的に見えた。崩れたのは、彼女のおばあちゃんが倒れた日。病院へ向かう電車の中で、彼女は彼に連絡したの。どうしよう、って。返ってきたのは、大丈夫?君がいいようにしていいよ、の一言。
画面を見つめたまま、彼女の親指は動かなかったって。心臓のあたりが、すうっと冷たくなる感じ。(この人には、頼れないんだ)。その瞬間にわかっちゃったらしい。誰かに支えてほしかった夜に、決めるのは君だよ、と返ってくる。優しさは、たしかにそこにあった。でも、いてほしい形じゃなかったんだよね。
なよなよ男に女性が抱く不安って、表に出るのは付き合って大丈夫かな、くらい。奥は全然ちがう。何年か経って、尊敬できなくなる怖さ。いざってときに守ってもらえない心細さ。そして、自分が一生ぜんぶの舵を取る未来がチラつく感覚。もやもやの底にあるのは、相手のスペックじゃなくて、自分の人生これで大丈夫?っていう問いだったりする。
恋愛が続くのに、ちょっとだけ見上げる気持ちっているんだよね。すごいと思える瞬間が、たまにでいいからほしい。決められない人といると、その瞬間が一回も来ない。優しさは毎日もらえるのに、尊敬の置き場所がないの。最初はそれでも幸せ。半年、一年と経つうちに、優しいんだけどさ、が口ぐせになってくる。あの、けどさ、が出はじめたら黄色信号だと思ってる。
紹介できない、っていう静かな本音
もうひとつ、口に出しにくい不安があってね。
別の参加者の話。彼のこと、好きではあるんです、って前置きしてから彼女が言ったの。でも、友達に会わせる場面を想像すると、足が止まっちゃうって。グループで集まったとき、彼がずっと自分の後ろにいて、ねえ次どうする?しか言わない。その絵を浮かべただけで、頬のあたりがカッと熱くなったらしい。守りたいわけでも恥ずかしいわけでもなく、ただ、自分が通訳みたいに全部回す未来が見えて、息が詰まったって。
これね、薄っぺらいって自分を責める人がほんとに多い。見た目とか頼りなさで人を選ぶなんて最低だ、って。違うからね、はっきり言う。それは判断じゃなくて、相性の確認なの。一緒に重い荷物を持てる相手かどうかを見てるだけ。結婚して、子どもができて、家族の決断が積み上がっていく場面で、隣が毎回なんでもいいだったら、どうなるか。想像して引くのは、冷たさじゃない。生きる本能だよ。引いていいの。
切り捨てる前に、一本だけ線を引いてみて
ただね、なよなよ風に見えて中身がある男も、普通にいる。早とちりで逃すのはもったいなさすぎ!見るポイント、そんなに多くないから。
小さい場面で、自分で決められるか。ランチのメニューを選べる、行き先を一個提案できる、それだけでいい。大きい決断じゃなくて、日常のちっちゃな意思表示ね。あと、譲るときに理由があるかどうか。君に合わせる、じゃなくて、君が楽しそうだから今日はこっちにしよ、これは芯のある譲歩。前者は預けっぱなし、後者は選択。同じ譲るでも、まるで別物でしょ?
イベントで観察してると、はっきり出るのよ。ビュッフェの列でさ、ずっと後ろに張りついて、何取ります?しか言わない男性がいる。逆に、あれ美味しそうだから先いきますね、ってサッと動いてから周りに気を配る男性もいる。やわらかさは、どっちも同じくらい。なのに、隣にいる女性の表情がぜんぜん違うの。前者の子はちょっと遠い目、後者の子は楽しそうに笑ってる。決められる柔らかい男って、ちゃんとモテてた。やわらかさが悪いんじゃない。やわらかさを、決めない口実にしてるのが刺さらないだけ。
逆に、優しすぎて損してる本物もいてさ。意見はちゃんと持ってるのに、嫌われたくなくて飲み込んじゃうタイプ。これは見極めると当たりだったりする。二人きりで、好きな食べ物とか、行きたい場所を聞いてみて。すらすら出てくるなら、芯はある。ただ出し方を知らないだけ。場数を踏めば、決められる側にちゃんと回るから。なんでもいい、しか返ってこないなら、そこは別の話だけどね。
直してあげようとすると、もっと決めなくなる
ここで、女性側がハマりがちな沼の話もしておきたい。
決めてくれないなら私が決めればいい。そう思って、店も予定も全部リードしはじめる女性、すごく多いの。最初は回る。スムーズに見える。でもね、これが彼の決める筋肉をどんどん退化させちゃうんだ。任せておけば全部やってくれる人。その椅子に収まった瞬間、自分で動く理由が消えるんだよね。
サークルでもあった。世話焼きで気のきく女性が、隣の男性のぶんまで受付して、飲み物も取ってきて、終電まで段取りして。彼はにこにこ座ってるだけ。半年後、彼女がぽつりと言ったの。私、彼女じゃなくてマネージャーみたいって。声に、力がなかった。よかれと思ってやった世話が、彼を子どもの椅子に座らせ続けてたんだよね。
相手を母親みたいに支えはじめたら、それもう恋愛とは別物になってくる。決めない人を、決めなくていい場所に置いてあげてるだけだから。手を引っ込めるのだって、優しさのうちでしょ。
「なよなよしてる」と言われた男が、まず間違える場所
ここから、言われた側の番。
好きな子に、なよなよしてるよね、って言われてガツンときた経験。ある男性、けっこういるんじゃない?あれ、性格そのものを全否定された気がするんだよね。全部変えなきゃ愛されないのか、もう手遅れか、って頭がぐるぐるする。寝る前に天井を見つめながら、自分のどこがダメなんだろうって数えはじめる夜。きついよね、あれは。
で、けっこうな数の人がやらかすのが、強がりへの方向転換。急に俺についてこいモードを作る、わざと冷たくする、自信あるフリで声を張る。これが逆効果なんだよなあ。サークルにもいた。柔らかくていい人だったのに、変わらなきゃと気負って、急にオラついた男性。場の空気がピリッと張りつめて、女性陣がすっと半歩引いた。本人の首すじ、うっすら汗ばんでた。無理してるの、見てるこっちに伝わっちゃうんだよ。
つけ焼き刃の強さほど、見抜かれるものはない。優しさっていう武器を、自分の手で捨てにいってる。もったいないにも程があるって。
性格は変えなくていい。いじるのは、たった一個
なよなよを直すのに、別人になる必要はゼロなんだよ!優しいまま、穏やかなままでいい。変えるのは、決める、それだけ。
具体的にはね、デートで一個だけ自分で決めてみる。店でもいいし、次に会う日でもいい。ここ行こう、って言い切る。相手の好みは事前に調べておけば、そうそう外さない。意見を聞くのは下調べの段階で済ませて、当日は決定を握っておく。たったそれだけで、印象がガラッと変わるから。
決めるって、対面だけの話じゃないよ。LINEでも出る。いつ会う?に対して、いつでも空いてるよ、これが一番やりがちなやつ。空いてるアピールのつもりが、相手にまた日程調整を背負わせてる。土曜の夜、あの新しいお店どう?って候補ごと投げてみて。相手はイエスかノーを返すだけでよくなる。この、相手の脳の負担を一個減らす感覚。これが決めるの正体なんだよね。即レスで、候補つきで。それだけで、頼れる気配が急に立ちのぼる。
いちばん覚えてる変化の話、するね。常連の男性でさ、最初は典型的に、なんでもいいです、の人だった。半年くらい通って、ある日、二次会の店を自分で予約してきたの。みんなで行きましょう、ここ調べたんで、って。声、ちょっと震えてた(笑)。でも、決めた。その日、隣に座ってた女性が彼を見る目が、明らかに変わったの。あとで聞いたら、初めて引っ張ってくれた気がした、って。いま、ふたりは付き合ってる。性格は何ひとつ変わってない。決定を一個、自分の手に戻しただけ。それだけで、見え方って変わるんだよね。
声や姿勢も、ついでに整えると効く。小さい声でぼそぼそ謝りすぎると、自信のなさが音になって漏れる。背中を伸ばして、語尾まで言い切る。難しい話じゃない。やわらかさはそのままに、伝わり方だけ調整する感覚でいい。香水を変えるより、よっぽど刺さるからさ。
優しさを魅力に変える方法、シンプルだよ。気遣いに、方向をつけるだけ。寒くない?じゃ弱い。寒いと思って上着持ってきた、これ着て、ここ座って、までやりきる。同じ優しさでも、後者は決めて動いてる。気がきく、と、頼れる、の差って、そこにしかないの。先回りして、決めて、差し出す。優しい人ほど、この変換が一番ハマるんだよね。素材は、もう持ってるんだから。
優しさを、損で終わらせないために
勘違いしないでほしいんだけど、優しい人が損するわけじゃないの。優しさを、決めない言い訳に使う人が損する。裏を返せば、柔らかさを残したまま要所で決められる男は、強面よりずっと深く届く。現場でずっと見てきた事実だよ。
それと、なよなよした男が好きな女性も、ちゃんといるからね。引っ張られるのが苦手で、対等に並びたいタイプ。穏やかさにほっとするタイプ。そういう人と、要所で決められるやわらかな男が組むと、びっくりするくらい長く続く。相性って、そういうこと。好みは間違いじゃない。ただ、決めない、とは話がまるで別なだけだよ。

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