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とっかえひっかえ恋愛をする人の心理と隣で消耗しない見極め方

金曜の夜、貸し切ったダイニングバーのいちばん奥。グラスの氷がカランと鳴った瞬間、あの子の視線が、その夜三人目の男性にすっと移ったのが見えちゃったんだよね。

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次々と相手を替える人は、余裕じゃなくて怖がってる

恋人を次から次へと替えていく人って、だいたい場の真ん中にいる。声が明るくて、笑いのテンポが速くて、隣に座る相手だけが毎回入れ替わる。周りは最初、モテる人なんだなで片づけちゃう。でもね、サークルを回して何百人とそばで見てきた側から言わせてもらうと、あれは余裕の顔じゃないの。むしろ反対。心臓のあたりが、ずっと小走りしてる人たちなんだよね。

うちの常連だったミナさん、二十八歳。半年で四人乗り換えた。ある二次会の帰り道、ぽつりと言われたことがある。誰もいない部屋のドアを開ける瞬間、喉の奥が詰まるくらい怖いんですって。新しい誰かとメッセージを送り合ってる間だけ、その息苦しさが、すうっと薄まるんだとさ。

これ、的を射てる。送って、すぐ既読がついて、また返ってくる。その小さな往復のたびに、自分はちゃんとここにいていいって確認できる。だから手が止まらない。相手に夢中というより、不安を黙らせるために連絡してる。

人が誰かと距離を縮めるときの心の構え方を、心理学では愛着スタイルって呼んだりする。近づきすぎる手前で怖くなって離れてしまう型を、回避型なんて分類する。とっかえひっかえする人の多くは、相手に飽きたから次へ行くわけじゃない。距離がゼロに近づいた瞬間、自分の情けない部分まで覗かれちゃう恐怖がぶわっと込み上げて、相手が自分を知り尽くす前に逃げ出すの。

刺激を追ってるように見えて、ほんとは深さから走って逃げてる。ここ、見落とすと全部読み違えるよ。

別のタイプもいてさ。新しい相手が自分に振り向く、あの一瞬だけを集めて生きてる人。告白してOKをもらった直後の、ふわふわした数週間。そこで、自分には価値があるって充電してるんだよね。だから相手が安定して、隣にいるのが当たり前になると、コンセントが抜けたみたいにスッと冷める。

ハルトくんって参加者が、まさにそれだった。口説いてる最中の彼は、別人かってくらい目が輝いてる。なのに付き合った途端、返信が一行になる(笑)。本人はまるで気づいてなかったけど、彼が欲しかったのは彼女そのものじゃなくて、選ばれたっていう手応えのほうだったわけ。

そしてもう一人。いちばん厄介なのが、常に保険を握ってるタイプ。今の相手と一緒にいながら、スマホの中にはいつも次の候補が二、三人控えてる。ユカさんがそうだった。彼氏がいるのに、イベントには必ず一人で来て、新しい男性とちゃっかり連絡先を交換していくの。浮気したいわけじゃないって、真顔で言うんだよ。ただ、いつ切られても大丈夫なように、立つ地面を二枚重ねておきたいだけ、って。本人に罪悪感がないから、まわりは振り回されてることにすら気づけない。気づいたときには、もう次の人と笑い合ってる。あの切り替えの速さ、見てるこっちの背筋がひやっとするくらいさ。

男だから、女だからって話に落としたくないんだけどさ。現場で見てると、出方の違いはたしかにある。男性のほうは、新しい相手を落とす狩りそのものに熱を上げがちで、手に入った瞬間に温度がすうっと下がる人が目立つ。女性のほうは、複数の相手から大事にされてる状態をキープして、そのぬくもりで自分の輪郭を保とうとする人が多い印象かな。でもね、皮を一枚めくった奥にあるものは、男女でぴたっと重なるの。ひとりになるのが怖い。素の自分を見せて嫌われるのが怖い。だから誰かとつながり続けることで、その怖さにそっと蓋をしてる。性別はただ出口の形が違うだけで、火元はいつも同じ場所で燃えてるんだよね。

その人を好きになっちゃった、あなたへ

過去に何人も乗り換えてきた人と、いま向き合ってる。元カノが、元カレが何人もいたって話を耳にして、胸の奥がきゅうっと締まる。私も、いつかその長い列に並ばされるのかなって。

ここで一個、はっきり言い切らせてほしい。

私の本気の愛を見せれば、この人はきっと変わる。その筋書きに酔うのが、いちばんあなたを削るんだよ。炎上したっていい、言うわ。遊び慣れた人を本命に育て上げる物語、あれに自分を重ねるの、もうやめたほうがいい。

その台本で潰れていった子を、現場で何人も見てきたから。

白状すると、昔の私は、こういう恋を応援しちゃう側だった。あの常習犯くんといい感じになってたリカさんを見て、いけいけって背中を押してたんだよね。お似合いじゃん、って。…今でもあれを思い出すと、胃のあたりがずんと重くなる。

リカさんが落ちた相手は、サークル内でも札つきの乗り換え常習犯。彼女は、今までの子とは違うって思わせてみせる、って燃えてた。連絡はいつも秒で返す。彼の予定に全部こっちを合わせる。彼の機嫌が悪い日は、自分が何かしたのかもって先に謝る。

半年後、イベント会場に現れた彼女を見て、息が止まった。別人みたいに痩せてた。目の下が、ぽっかり落ちくぼんでてさ。彼、最近あの新しい子とよく話してるんです、って、笑いながら言うんだよ。

彼は、ひとつも変わらなかった。変わったのはリカさんのほうで、自分の値段を、来る日も来る日も値引きしていった。

今も同じとは限らない。でも願望で判定したら負ける

過去にたくさん乗り換えてきた人が、今も同じとは限らない。これは本当のこと。人には立ち止まる瞬間があるし、ある相手の前で初めて足を止める人だっている。落とし穴は、それを願望で判定しちゃうこと。

ケンジさんっていう人がいてさ。学生時代から、付き合っては別れてを年単位でぐるぐる繰り返してきたタイプ。サークルに来た当初も、正直またこの感じかって目で見てたんだよね。なのに、ある女性と出会ってから、彼の動きが目に見えて変わったの。二次会で飲みすぎて醜態をさらした翌週、わざわざシラフで顔を出して、あの時はごめんって頭を下げに来た。あんな殊勝なケンジさん、初めて見たわ!

彼が変わったのは、相手が彼を変えようと頑張ったからじゃない。その人の前でなら、かっこ悪い自分を見せても見捨てられない、って体が覚えたから。人が立ち止まるのは、追いかけられた時じゃないんだよね。安心して立っていられる地面を見つけた時なの。

だから、本気になってる人のサインって、びっくりするくらい地味なところに出る。あなたの来週の予定をちゃんと覚えてる。喧嘩した翌朝、自分から戻ってくる。半年先、一年先の話に、あなたが空気みたいに当たり前に入ってる。甘いセリフの量じゃなくて、静かな行動が積み上がってるか。見るのはそこだけ。

危ないのは逆。言葉だけが砂糖みたいに甘くて、行動がいつも明日に先送りされる時。会う約束が毎回ふわっとしてて輪郭がない。あなたが不安をこぼすと、なだめるのは天才的にうまいのに、次の日にはもう何も変わってない。これね、ミナさんが歴代の相手に無意識でやってた動きと、寸分たがわず同じなんだよ。気をつけてね!

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