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しっかり者なのに天然な人が恋愛で疲れる理由と本当のモテ方

受付の名簿を五十音順にそろえて、釣り銭を一円単位で合わせて、初参加の子を席まで案内して。そこまで完璧だった。その案内した本人が、トイレから戻ったあと、自分のバッグを別の椅子に置きっぱなしで、知らない男性の隣ににこにこ座ってたのよ。テーブルがどっと沸いて。彼女だけ、きょとんとしてた。

うちのサークルに来る女性で、いちばん記憶に残るのがこのタイプなんだよね。段取りは抜群。周りもよく見えてる。なのに、ふっと一本だけ線が抜ける瞬間がある。

しっかりしてるね、とも、天然だね、とも言われてきた人って、恋愛で得なの、損なの。

私は、このタイプはめちゃくちゃモテると思ってる。

目次

ギャップに、なぜこんなにも人は弱いのか

完璧に見える人が、ふいに見せるすき間。そこに、人はぐっと吸い寄せられる。心理学だと、有能な人がちょっとした失敗をするとかえって魅力が増す現象が知られてて、しくじり効果なんて呼ばれたりする。隙のなさは壁になるのに、小さなドジひとつで急に距離が縮む。あれ、不思議だよね。

うちの飲み会で、こんなことがあった。

仕事の話をさせたら止まらない女性がいてさ。数字に強くて、筋が通ってて、男性陣がたじたじ。(うわ、隙ないな…)って、その場の全員が思ってたと思う。そしたら乾杯の瞬間、自分のスマホを生ビールのジョッキにぽちゃんと沈めたの。一拍の静寂。次の瞬間、向かいの寡黙な男性が、無言でおしぼりをかき集め始めた。後日、その二人は付き合ってた。

彼があとで言ってたことが忘れられない。あの瞬間まで雲の上の人だと思ってた、スマホが沈んだとき(この人、ほっとけない)って勝手に体が動いてた、って。

ギャップは、相手の中の何かのスイッチを押す。ここまでは、あなたも薄々わかってるはず。きついのはこの先なの。

モテるはずなのに、恋愛だけうまくいかない理由

同じギャップを持ってるのに、片方は秒で落とされて、片方はずっと友達のまま。この分かれ目、現場で見てると、はっきり三つある。

ひとつめ。頼られすぎて、必要とされなくなる。

しっかり者って、気づいたら全部やっちゃってるのよ。店の予約も、割り勘の計算も、酔いつぶれた友達の介抱も。あの子がいれば安心、って言われる。一見、最高の褒め言葉。でもこれ、恋愛だと真逆に効くんだよね。

人は、自分が役に立てた相手を好きになる。守れた、支えられた、その手応えが愛情に変わっていく。何でも一人でできちゃう人には、その手応えを渡す隙間がない。相手が(俺、いなくてもよくない?)って、静かに引いていく。完璧さが、そのまま壁になるわけ。

ふたつめ。ギャップが、ただの読めない人に化ける。

しっかりした顔と、抜けてる顔。本人はどっちも自分なんだけど、相手からすると、結局どっちが本当なの、ってなりやすい。本質がつかめない不安。それで距離を取られる。ギャップは武器にも地雷にもなるの。出すタイミングを間違えると、ミステリアスどころか、ただの情緒不安定に見えちゃう。けっこう残酷な話なんだけどさ。

みっつめ。天然な自分を、欠点だと思って隠す。

これがいちばん、もったいない。

うちに来てた、ある女性。きれいで、仕事もできて、でも初対面だとガチガチに固いの。受け答えが完璧すぎて、隙がない。三回目の参加で、やっと素がこぼれた。道に迷って遅刻して、しかも反対方向の電車に乗ってたって判明してさ、テーブルが沸いた。その瞬間、隣にいた男性の目つきが、ぱっと変わったの。それまで礼儀正しく相づち打ってただけの彼が、ぐっと前のめりになった。

彼女、あとで打ち明けてくれた。天然なとこがずっとコンプレックスで、バレないように気を張ってたって。本当に好かれる入り口を、自分の手でふさいでたんだよね。

それと、天然を出したら、計算してるとか、ぶりっこだとか思われそうで怖い。その気持ちも、よく聞くの。でも現場で何百人と見てきて思うのは、本物の抜けと、作った可愛さって、まわりには案外バレてる。素のドジは、笑われても嫌われない。むしろ、わざとらしさのほうが警戒される。だから安心して、地のままでいい。

思い当たって、ちょっと胸がざわつく人へ

仕事のLINEは秒で返すのに、好きな人には既読すらつけられない。後輩の恋愛相談は朝まで聞けるのに、自分の弱音はひと言も出せない。大人数なら完璧に仕切れるのに、二人きりになった途端、急にぎこちなくなる。何が食べたい?って聞かれて、なんでもいいよ、って言いながら、本当は決めてほしかったりするんだよね(笑)

ひとつでも刺さったなら、たぶん図星。

しっかり者の鎧の下に、ちゃんと甘えたい自分がいる。それを、自分でもうまく出せないだけ。

本当の悩みは、モテるかどうかじゃない

しっかり者の顔は、周りが求めるから引き受けてる役。天然な部分は、可愛がられるから、そのままにしてる。じゃあ、その下にいる、矛盾だらけの本当の私は、誰が見ててくれるの。そういう孤独を、たいていの人が言葉にできずに抱えてる。

頼られるのに、頼れない。ここがこのタイプの芯にある苦しさ。

うちの常連の子が、二次会の帰り道でぽつっとこぼしたことがある。みんなあたしのこと、一人で平気だと思ってる、って。終電前のホーム、人混みのざわめきの中で、その声が少しかすれてた。私は、うまく返す言葉が見つからなかった。

甘えたい。守られたい。本音はちゃんとあるのに、平気、って言葉のほうが先に出ちゃう。大丈夫?って心配されて、うん大丈夫!って反射で跳ね返した経験、あるでしょ。あれ、相手が必要とされるチャンスを、自分で握りつぶしてるの。

天然は欠点じゃなくて、甘えのサインを出せる才能

天然な抜けって、隠すべき欠点じゃない。甘えのサインを、意図せず自然に出せる、数少ない才能なんだ。

しっかり者がいちばん苦手なの、助けて、って言葉。プライドもあるし、迷惑かけたくないし。でも天然な抜けは、本人がそのつもりなくても、相手が手を貸す隙間を勝手に作ってくれる。スマホをジョッキに落としたあの子が、ひと言も発さずに彼の体を動かしたみたいにね。

天然は、最強の甘え下手解消ツール。隠すなんて、とんでもないよ。出していい。出したほうが、止まってた関係が動き出す。

ちゃんとしなきゃを、好きな人の前でだけ降ろす

好きな人の前でだけ、ほんの少し緩めるだけで、見える景色が変わる。

重い荷物を、自分で持たずに渡してみる。道に迷ったら、調べる前に、ねえこっちで合ってる?って聞いてみる。できない自分を見せても、この人なら引かない。そう思える相手の前で、完璧にしようとする手を、一回だけ止める。

うちで見てきた中で、恋が回り出す瞬間って、だいたいここ。隙を見せた側より、見せてもらえた側のほうが、顔がほころぶんだよ。

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