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モテそうと言われるのにモテない理由と抜け出す方法

二次会を出た深夜零時すぎ。参加者の男性が、看板の灯りの下でぽつりと言った。今日もまた言われましたよ。モテそうですね、って。

社会人サークルでこの一言を浴びる人を何人も見てきた。共通してるのは、言われた瞬間にゼロコンマ数秒だけ表情が止まること。それから慌てて笑う。あの一瞬に、絶対なにか飲み込んでるでしょ。

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褒め言葉なのに、みぞおちが重くなる

モテそうは、顔も清潔感も条件も、否定されてない。むしろ肯定されてる。なのに連絡先の交換で終わる。二軒目には誘われない。ブサイクだからとか、収入がどうとか、そういう分かりやすい原因なら手の打ちようがあるじゃん。悪くないですよ、と言われ続けると改善の方向が永久に定まらない。

現場で何度も見てきた表情がある。モテそうですね、と言われた直後の、口角だけ上がって目が笑ってないやつ。鏡で見たことある人、けっこういるんじゃないかな。喉のあたりに何かが詰まる感じ。ありがとうございます、と口では言いながら、内側では別の言葉がぐるぐる回ってる。じゃあ、なんで誰も選んでくれないんですか、って。

原因不明が、一番きつい。しかもこの悩み、友達に相談できないでしょ。口にした瞬間、自慢と受け取られる。贅沢な悩みだねの一言で会話が閉じる。

その言葉が出た瞬間、彼女の頭で起きてること

イベント後のアンケートと、女性参加者との立ち話を三年ぶん集めてみた。あの一言の中身は、だいたい三つに割れる。

一番多いのが会話の穴埋め。初対面で話題が尽きた三分後、無難で角が立たない札として切られてるだけ。相手がこっちの顔をちゃんと見ずに言ってきたら、まずこれ。

次に多いのが予防線。あなたには他にも選択肢があるでしょう、という形で自分を安全な位置に置いてる。私は本気にならなくていい人、という宣言みたいなもの。選択肢が多そうに見えるせいで、候補から外されてる。この構造に気づいてる人、ほとんどいないんだよなぁ。

打ち上げの終盤、女性参加者に直接聞いてみたことがある。どうしてあの人にモテそうって言ったの、と。返ってきたのが「だって、私が本気になっても仕方ない感じするから」。その日、彼女はずっと彼の隣で笑ってたんだよ。好意がなかったんじゃない。傷つく前に、自分から降りただけ。

残りが本物の興味。見分け方はシンプルで、言ったあとに質問が続くかどうか。モテそうですね、で会話が止まるならただの札。そこから恋愛経験を掘ってきたり、休日の過ごし方を聞いてきたりしたら、確かめにきてる。

去年の秋の交流会。女性参加者が席を立ったあとに、小声でこう言った。「あの人、完璧すぎて逆に興味なくなっちゃった」。氷がカランと鳴った音まで、なぜか覚えてる。

止まる人に共通する、五つの型

現場で観察してると、モテそう止まりの人はほんとに同じ形をしてる。

まず、整いすぎ。服も髪も所作もきれい。ここは長所だよ。ただ、完成しきってると触れる場所がなくなる。ショーケースの中の商品と同じで、眺めるものであって関わるものじゃなくなっちゃう。

感情の起伏が読めない人も多い。話は面白い、笑いも取れる。なのに何に本気で腹を立てて、何で泣くのかが最後まで分からない。人って、感情を見せない相手には感情を返せないんだよ。

去年の忘年会。ある男性が、仕事の愚痴にも恋愛の話にも、まったく表情を動かさなかった。隣に座った女性が三回、話題を変えた。四回目で、彼女は別の席へ移った。彼は何も悪いことしてないの。ただ、返ってこなかっただけ。

段取りが良すぎるのも罠。店の予約も会計も移動も完璧にこなす。頼る隙間がゼロだから、相手は貢献できない。関係って、してもらう側とする側が入れ替わる往復で深まっていくもの。片側通行のまま終わる。

誰にでも平等、これが地味に致命傷。全員に同じ温度で接する人は、誰にも特別を渡してない。優しさが薄く広く伸びきってるだけさ。

最後が自己開示の非対称。相手の話をよく聞くし、質問もうまい。でも自分の話は返さない。心理学でいう自己開示の返報性は、同じ深さで往復して初めて機能する。片方だけが語る関係って、面接と変わらないんだよね。

幹事がいちばんモテない、という現場の法則

身も蓋もない話をするね。イベントで一番よく動いてる人が、一番カップルにならない。

受付をやって、席替えを仕切って、飲み物が切れてないか見て回って、二次会の店まで押さえる。参加者からの評価は高いよ。あの人しっかりしてますね、って何度も言われる。そのあとに続くのが、モテそうですね。

で、連絡先は交換されない。

理由ははっきりしてる。動き続けてる人には、誰も話しかけられないから。相手のために働いてる姿は、相手を客席に固定するの。客はステージに上がってこない。

三年前、うちで一番優秀だった幹事に、一度だけ何もしないで参加してもらった。受付は他の人へ振って、ただの参加者として席に座らせた。手持ち無沙汰でグラスを持て余してる姿、正直ちょっと笑っちゃったなあ。

その日、彼は初めて二軒目に誘われた。

有能さは、距離を作る。ここを飲み込めるかどうかで、その先がまるっと変わる。

三十代を過ぎると、周りが説明を求めてくる

二十代のうちは、まだいい。三十を越えたあたりから空気が変わる。

モテそうなのに独身、という状態が、周囲にとっては謎になる。何か問題があるのでは、と勘繰られる。親戚にも聞かれる。同僚にも探られる。焦りの正体は結婚願望そのものより、この説明責任だったりする。

同窓会でも、結婚式の二次会でも、同じ質問が飛んでくる。なんで結婚しないの、と。答えを用意して出かけるようになる。仕事が忙しくて、みたいな台本を持ち歩いてるうちに、本当の理由から自分でも目を逸らしていくんだよね。

説明できないから、余計に隙を消す。隙を消すから、また止まる。

素を出したら離れられる、という予期不安

外側の評価が高い人ほど、内側の実感とのズレが広がっていく。

本当の自分を知られたら幻滅される。だから深いところまで踏み込ませない。恋愛版のインポスター症候群みたいなもので、これが関係を深める手前で毎回ブレーキを踏ませてる。

この気持ち、当事者じゃないと分からないと思う。

でも現場で見てきた事実を書くね。幻滅されて離れていった人より、何も見せないまま自然消滅した人のほうが、圧倒的に多い。

進んだ人が変えたのは、たった一点だった

三十代前半の男性参加者で、半年で状況がひっくり返った人がいる。

彼が変えたのは見た目でも会話術でもない。喋る中身だった。前職を辞めたときのこと。貯金が三ヶ月分しか残ってなくて、夜中に天井を見上げてた話。それを二次会の隅っこで、ぽろっと。

聞いてた女性の姿勢が変わったのが、離れた席からでも分かった。前のめりになって、グラスを置いて、それまでの敬語が崩れた。空気がふっと緩んだ。

弱さを見せたら人は離れる、と信じてる人が多いけど、逆だよ。完璧に見えてた人が見せた一瞬の欠けは、ゲイン効果が働いて評価が跳ね上がる。もともと隙のない人ほど、この振れ幅がデカい。

心理学者のジュラードが示した自己開示の返報性は、片方が一段深く開けると相手も同じ深さまで開けやすくなる、という往復のこと。裏を返せば、こっちが開けない限り相手も開けない。ずっと浅いところで会話が回り続ける。感じよく終わる飲み会が積み重なって、何も起きない一年が過ぎていく。

さっきの彼、その後どうなったか書いておくね。開示を始めて三週目に、女性のほうからごはんに誘われた。四週目には、自分から断られるかもしれない連絡を送った。半年後には別の人と付き合ってたけど、本人が挙げてた変化は、断られる回数が増えたことのほうだった。電話越しの声のトーンが、前と全然違ったわ。

直すんじゃなくて、出す。それだけ。

隙をなくす習慣って、努力の結果でしょ。だから否定されるとキツいの。積み上げてきたもの全部を間違いだと言われた気になる。誰もそれを捨てろとは言ってない。整った外側はそのままでいい。開ける扉を、一枚だけ増やす話をしてる。

明日からできる、開示の練習

失敗談をひとつだけ決めておく。深刻すぎない、でも笑い話に逃げきらないやつ。仕事でやらかした話でも、家族との気まずさでもいい。初対面で全部出す必要はないの。一個だけ、ポケットに入れて出かける。

全員に平等をやめる。同じ空間にいる誰か一人に対して、明らかに温度を上げてみて。名前を呼ぶ回数を増やす。その人の話にだけ、もう一段深く踏み込む。周りに気を配る優しさは、恋愛の場面ではほぼ効かない。

段取りをわざと崩すのも手。店を決めきらずに、どっちがいい?と投げる。相手に選ばせる。役割を渡された人は、その場に責任を持ちはじめるから。

リアクションは一・五倍でちょうどいい。整った人ほど反応が小さいの。驚いた顔をちゃんと作る。声を出して笑う。表情が動かない相手の前だと、話す側はだんだん不安になってくるんだよ。

好きなものを、恥ずかしいまま言う。趣味を無難に丸めない。深夜にラーメンの動画を延々スクロールしてる、みたいなダサさが人格になる。相手の話を受けたら、必ず自分の話を返す。聞き役に徹するのは安全。でも安全な人は選ばれないんだよね。

そして月に一回、断られる可能性のある行動を取る。誘う。連絡する。踏み込む。モテそうと言われる人は失敗が怖い。周りの期待値が高いぶん、コケた時の恥が重くのしかかるから。その慎重さが、何も起きない日々をせっせと作ってる。

言われた瞬間の返し方も、実は開示の入り口になってる。そんなことないですよ、と否定すると会話がそこで死ぬ。よく言われるんですけど、実際は三年ひとりなんですよね、くらいまで落として渡すと、相手が踏み込む場所ができるよ

。謙遜は美徳じゃなくてシャッターだよ。

連絡でも同じことが起きてる。既読から返信までの時間を計算して、絵文字の数を調整して、ちょうどいい温度で送る。整った文面って、読んだ側に何も残らないんだよね。今日ずっと眠くて仕事にならなかった、くらいの生活感がある一行のほうが返事が来る。完成された文章より、途中の独り言。

順番としては、リアクションと自己開示から始めるのがラク。特別扱いと誘うのは、そのあとでいい。

やってはいけない隙もある

隙を作れと言われて、時間にルーズになったり、お金にだらしなくなる人がいる。それはただの減点だからね?

見せるべきは、生活が崩れた姿じゃない。感情の内側のほう。何にムッとして、何に救われて、何が怖いのか。そこだけでいい。

イベントの帰り道、四十代の女性参加者がこぼしてた。「完璧な人と一緒にいると、自分の欠けてるところばっかり目に入るんだよね」。しーんとした駅のホームで、その一言だけがやけに残った。

もうひとつ。開示のつもりで重い過去を初対面でぶちまけるのも事故るからね。込み入った家庭の話をされた女性が、翌週から参加しなくなったことがあった。開示には深さの階段がある。一段ずつ上がるから、相手もついてこられる。二段飛ばしは、ただの投げつけ。

相手を安心させられるのは、整った人じゃなくて、少し欠けてる人。

言われ慣れてる人ほど、あの言葉を聞き流す訓練ができちゃってる。今度また言われたら、ほんの少しだけ立ち止まってみて。相手は何を守るために、その札を切ったのか。そこが読めるようになると、同じ一言がまるで違って聞こえるようになるから。

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