金曜の夜、貸し切りにしたダイニングバー。二十人ちょっとの社会人が入り乱れて喋ってた回でのこと。カウンターの端っこで、アパレル勤めの子が向かいの男性からいきなり言われたの。
ねえ、もしかして俺のこと好きでしょ。
その瞬間のAちゃんの顔、今でも忘れられない。目が泳いで、グラスを持つ指がピクッと止まって、耳まで赤い。え、や、なんで(笑)。会話、そこで止まった。数秒の沈黙がやたら長くてさ。彼のほうも気まずそうにスマホいじり始めて、その夜ふたりが喋ることは二度となかったんだよね…。
そもそも「俺のこと好き?」を言う男の頭の中
うちのサークルを回して七年。何百回とこのやりとりを至近距離で見てきた。あの質問を投げる男、ざっくり四種類に落ちるんだよね。
いちばん多いのが、告白する度胸がなくて、こっちから言わせたい奥手くん。心理でいう拒絶回避に近いやつ。振られて傷つくのが怖いから、直球の告白を避けて、質問という保険をかけてくる。声が微妙に上ずってたり、聞いたあと目を合わせられなかったり。そういう子はまずこのタイプ。かわいいもんだよ、ほんと。
厄介なのが二番目、自分のモテ確認をしたいだけのナル系。女の好意を燃料に自己肯定感を満たしてる。返事が好き以外だと露骨に不機嫌になる子、これね。三番目は遊びで沼らせにくるチャラ。四番目が、もう付き合ってるのに不安で何度も確認する彼氏。この四つ、返し方が全然ちがう。同じ言葉が、刺さる相手と地雷になる相手にきれいに分かれる。
うちに来てた広告代理店の子が、まさにここでハマってた。好意バレしてた相手にどんだけ俺のこと好きなの?ってイジられて、照れながらうんうん頷いてたら、半年ずっと都合のいい相手扱い。会いたいときだけ呼ばれて、その先には一生進まない。好意を安売りすると、本命の椅子は他の子にサッと取られる。見てて胸がざわざわした回だった。
好きな人に言われたら、隠すのがいちばんの悪手
先に言い切っておく。相手が本命なら、変にはぐらかすの、やめときな。
女性向けの記事だと駆け引き推奨ばっかりでしょ。でも現場で何十組も成立と自然消滅を見てきた立場から言わせて。奥手同士が探り合った回、ほぼ停滞して終わる。片方が笑ってごまかす。相手が勘違いかもと引く。で、次はもう会わない。この流れ、何回見たことか。
うちの常連だった看護師の子。好きな先輩に飲みの席で俺のこと好きなん?って笑いながら聞かれて、心臓バクバクだったらしいんだけど、平静を装って一言。
そうだったらどうする?
先輩、固まった!しばらく黙って、耳まで真っ赤にして下向いてさ。翌週にはもう付き合ってた。この返し、質問を質問で受けて主導権を渡さないまま、相手の本気を引きずり出せる。好きって即答が恥ずかしい人には、これがいちばんラクだと思う。
もっと踏み込めるなら、素直に好きだよって渡しちゃうのも普通に強いよ。好きって言われて機嫌を損ねる人間、ほぼいないから。それで崩れる関係なら、はじめから中身が空っぽだっただけ。
沼らせたいなら、答えを半分だけ渡す
好きを全部渡すと、そこでゲーム終了。相手の中であなたの株が固定される。沼らせる子がやってるのは、答えを半分だけ見せて、残りを取りに来させる技なの。
さっきのそうだったらどうする?もそう。バレた?でも同じ。肯定でも否定でもない。相手の脳内に、で、どっちなんだよっていう未完成の問いが居座る。人間、決着がつかないものほど頭から離れないっしょ。ツァイガルニク効果って呼ばれるやつ。途中で止められた物事のほうが記憶に粘る。恋愛でこれが起きると、あなたを考える時間が勝手に伸びていく。
うちのイベントにいたIT系の子。好きな人に探られて、ふふって笑ってグラス傾けただけ。肯定も否定もなし。相手、その夜ずっと彼女の横顔うかがってた。数日後、痺れを切らして向こうから正式に告白。奥手な男って、確信が持てないと動けないんだよね。だから確信を、あえて渡さない。じらしって意地悪に見えて、その実、相手の背中をぐっと押してる。
ただし沼らせは劇薬だからね。興味ない相手にやると、ただの思わせぶりな人になって、こじれる。好きな人限定の技だから、そこは間違えないで。
好きじゃない相手には、笑いながら線を引く
問題はこっち。恋愛感情ゼロの相手に聞かれた場合ね。
黙るのは最悪手。気まずさが倍になるうえ、相手が勝手にYES判定して押してくる。かといって無理、って真顔で刺すのも、場の空気を凍らせて逆恨みの燃料になりかねない。
現場でうまいなと唸ったのは、好意を否定しつつ相手の逃げ道も残す返し。みんな大好きだよ〜、で軽く流すやつ。ファンクラブ会員番号三番ね、ってボケた子もいた。一番じゃなくて三番、ってとこがミソ。好意はないよが伝わるのに、相手はツッコミを入れて笑いに変えられる。プライドを削らずに、脈なしがちゃんと届く。
人としては好きだよ、って冷静に返すのも手。恋愛じゃないよが柔らかく伝わるし、冗談で聞いてきた子への、そういうのやめてねって抑止にもなる。冷たく突き放さなくたって、線は引けるの。むしろ笑いに乗せたほうが、あとくされなく消えてくれる。
LINEで来たときは、会ったときの空気まで想像して返す
対面より神経を使うのがLINE。文字だけって温度が読めないから、地味に怖いっしょ。
深夜にポンと俺のこと好き?だけ届く。既読つけたまま固まって、一時間ひとりで悩む。ここでやりがちな事故が、真剣に返しすぎて重くなるパターン。文字の告白って、対面の三割増しで重量が出るんだよ。
好きな相手なら、どんなとこが?って聞き返すのが効く。好き?に直接は答えず、あなたのこういうとこ見てるよ、を匂わせる。ちゃんと見てますアピールが乗るぶん、好感度がじわっと上がる。会ったときも変にぎこちなくならない。逆に興味ない相手には、ノリよく茶化して一段温度を下げておく。ここで思わせぶりなゼロ距離返信をすると、相手が本気にして翌日から怒涛の連投。しんどいよ、あれはマジで。
「好きだもんね」「好きすぎだろ」の断定形は、ちょっと注意
俺のこと好きでしょ、と、俺のこと好きだもんね。似てるけど、後者はやや厄介なの。
疑問じゃなく断定で来る子には、調子に乗り成分が混じってることがある。うちのイベントでも、女の子の好意に気づいた途端、絶対俺のこと好きじゃんってイジりだす男、いたなあ。あれをニヤニヤ受け入れちゃうと、本命じゃなくキープ枠に回される。見たなかでいちばんきれいに切り返してたのは、逆に私のこと好きでしょ?って質問を丸ごと投げ返した子。相手、一瞬でしどろもどろ(笑)。立場が入れ替わって、そこから彼のほうが本気で追い始めたんだよね。
好意をタダで渡さない。これだけで、あなたの扱いは変わる。
先輩・上司から言われたら、角を立てずに流す
職場がらみは、恋愛の前に人間関係のリスク管理でしょ。
好きじゃない上司や先輩に聞かれて、素でないです、はキツすぎ。角が立って、翌日から仕事がやりづらくなる。ここはユーモアに全振り。いや〜みんなのこと好きですよ〜、で敬語のままふわっとかわす。ナルシストいじりの神回答も、目上には封印ね。どんなに仲良くても、失礼認定されたら、あとが長い。
何度も聞いてくる彼氏は、正直しんどい
付き合ってるのに、週一で好き?を確認してくる彼。これはもう別の悩みだよね。
背景にあるのは、たいてい自信のなさ。どうせ俺なんか、が根っこにあって、安心をチャージしたくて聞いてくる。カウンセリングの現場でも、確認行動が増える人ほど自己評価が低い傾向って言われるやつ。最初は甘えん坊だなで流せる。でも毎回だと、はぁ…ってなるのもわかるよ(泣)。効くのは、好き?に好きだよって返すより、あなたのこの部分が好き、って具体で刺すこと。ふわっとした好きより、名指しされた好きのほうが、不安のタンクにちゃんと溜まっていく。
ただ言い切っとくね。しつこさが束縛や監視に化けてきたら、それはもう甘えじゃない。何回言っても足りない相手は、あなたが埋めてあげる穴じゃないから切っていいよ。

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