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好きな人を他の男に取られそう魔性の女が絶対に焦らない理由

毎月開催してる社会人サークルの交流会。その日も四十人くらい集まってて、会場の隅で、ひとりの女性が男性三人にゆるく囲まれてた。

別にいちばん華やかなタイプじゃない。メイクも服も、どっちかと言えば控えめ。なのに、男性陣の体がぜんぶ彼女のほうに傾いてるんだよね。グラスを持つ手の角度とか、笑うタイミングとか、ぜんぶ自然で。

その斜め向かいに、別の子がいた。さっきまで気になってる男性と話してたのに、彼がトイレに立った瞬間、目が泳ぎはじめる。スマホをいじるフリして、彼が次に誰と話すか追ってる。戻ってきた彼に、ちょっと前のめりで質問を重ねて、重ねて。彼の顔が、ほんの少しだけ引いた。

この二人の差。顔でも年齢でもスタイルでもないんだよ。

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握るほど、砂みたいに落ちていく

ずっと現場を見てきて確信してることがある。好きな人を他の男に取られそう、って焦ってる子ほど、その焦りで自分から手放してる。

取られそうと感じた瞬間、人はだいたい同じ動きをする。連絡の頻度を上げる。相手の予定をやたら知りたがる。会えたら、いつもより長く一緒にいようとする。気持ちはわかるよ、痛いほど。逃げそうな相手を、両手で囲い込みたくなるあの感覚。

でもね。握れば握るほど、砂みたいに指の間から落ちていくの。

心理学に希少性の原理ってのがあって、人は手に入りにくいものほど価値を感じる生き物。裏を返せば、いつでも返事がくる、いつでも会える、いつでも自分を優先してくれる相手の価値は、相手の中でじわっと下がっていく。追いかけられる側は、追ってくる相手を上から眺めるポジションに自動で立っちゃうんだよね。性格の問題じゃない。力学の問題。

恋愛の不安が強い人ほど、相手の小さな反応に過剰に揺れるって、愛着の研究でも言われてる。返信が一時間遅いだけで、頭の中が嫌われたかもでパンパンになる。その不安が、確認の連絡になって漏れ出す。相手からすれば、何もしてないのに責められてる感覚。距離を置きたくなる。不安が、いちばん恐れてた現実を引き寄せる。

去年の秋のこと。サークルでよく顔を合わせてた女の子が、ある男性にすごく入れ込んでた。最初は向こうも満更でもなさそうだったの。それが、彼女が毎日おはようとおやすみを送るようになって、彼の投稿に毎回いの一番でリアクションして、休日に何してたか細かく聞くようになって。三週間くらいで、彼の返信が一行になった。一ヶ月で、既読だけ。交流会で泣きそうな目をして、なんで急に冷たくなったんだろう、ってつぶやいてたけど、急にじゃないんだよ。ボディブローみたいに、毎日の小さな一発がじわじわ効いていったの。本人にだけ、それが見えてなかった。

取られそうな時こそ、今すぐ手を止める

じゃあ、まさに今、相手が他の誰かに流れそうで胸がザワザワしてる人はどうすればいいか。

まず、連絡を増やさない。これがいちばん難しくて、いちばん効く。相手の返信ペースより、ほんの少しだけゆっくり返すくらいでちょうどいい。追わない。問い詰めない。最近どうしたの、みたいな探りも、ぐっと飲み込む。

代わりに、自分の予定を埋める。週末を相手の連絡待ちでつぶさない。友達と会う、ずっと行きたかった店に行く、なんでもいい。画面を見つめて待ってる時間を、物理的に削っていくの。

小細工とは違うよ。わざと既読スルーするとか、忙しいフリするとか、その手の演技はだいたい透けて見える。透けた瞬間、相手はもっと冷める。フリじゃダメ。本当に予定が入ってて、本当に楽しい、その状態だけが効くの。

でも放っておいたら本当に取られるじゃん、って思うでしょ。わかる。でもさ、しがみついて引き止められる相手なら、そもそも遅かれ早かれ同じこと。追って手に入る関係は、追い続けないと保てない関係なんだよね。

天然魔性の女が、無意識にやってること

最初の、囲まれてた彼女の話に戻る。

魔性の女って言うと、計算ずくで男をもてあそぶ悪女、みたいなイメージあるよね。でも天然がつくと、話がまるごと変わる。本人にまったく自覚がない。落とそうとすらしてない。なのに気づけば周りが落ちてる。この無自覚さこそが、いちばん厄介で、いちばん強い。

後日の打ち上げで本人と喋る機会があって。モテるよね、って言ったら、きょとんとしてた。自覚、ゼロ(マジか)。その日いちばん彼女が楽しそうだったのは、男性と話してる時じゃなくて、最近ハマってるサウナの話をしてた時。目をキラッとさせて、身ぶり手ぶりで、聞いてる相手が誰かなんて関係なく喋り倒してた。

天然魔性の女って、結局これなの。技術じゃない。あざとさでもない。重心が、男じゃなく自分の世界にある人。ただそれだけ。

何人もそういう子を見てきて、共通してることがいくつかある。

ひとつ、人によって態度を変えない。好きな男性の前でだけ声のトーンを上げる、みたいなのがない。だから相手は、自分だけ特別扱いされたいのに、されない。その平等さが、なぜか逆に火をつける。手に入った実感が、いつまでも来ないから。

ふたつ、待ってない。連絡がこなくても、自分の時間がちゃんと埋まってる。ひとりの休日を心から楽しんでて、返信を待ち構えてない。これがいちばんデカいかも。だって待ってる人の周りには、待ってる人にしか出ない、あのソワソワした空気がにじむんだよ。男性はそれを驚くほど敏感に嗅ぎ取る。逆に、自分の世界に没頭してる人を見ると、扉を開けて中を覗きたくなる。人間って、そういうふうにできてるみたい。

みっつ、嫌なことは嫌って言う。媚びない。断るときはちゃんと断る。前にこんな場面があってさ。ある男性が、魔性タイプの子をしつこめにデートへ誘ってて。彼女、笑顔のまま、その日は無理、あと急なノリはあんまり得意じゃないんだ、ってサラッと返したの。普通ならそこで終わりそうじゃん?なのにその男性、後から共通の知人に、あの子ちゃんと自分があってすごいよね、って漏らしてた。媚びられるより、芯を見せられたほうが、人は惹かれる。目の前で見ると、ほんとそう。

これ、生まれつきの才能だと思われがちなんだけど、違うからね。自分の生活が満ちてる人は、結果としてこうなる。順番が逆なの。魔性だからモテるんじゃなくて、自分の人生に夢中だから、勝手に魔性になる。

必死じゃない人ほど、選ばれる

好きな人を取られたくないなら、もっと頑張ってアピールしましょう。この手のアドバイス、ぜんぶ逆。

頑張った人が勝つわけじゃない。いちばん必死じゃない人が、いちばん選ばれる。残酷でしょ。でも何百組と見てきて、この法則がひっくり返ったこと、ほぼ記憶にない。

必死さって、相手にどう作用するか。この人は私がいないとダメなんだ、っていう安心感を、先払いで渡しちゃうの。安心しきった相手は、もう手を伸ばさない。狩りの本能みたいなものが、そこで眠っちゃうんだよね。

逆に、自分がいてもいなくても幸せそうな人。この人を引き止められるのは自分だけかもしれない。そう思った瞬間、相手のエンジンに火が入るんだよね。

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