付き合ってるのに、なんか、ひとりな気がする。
社会人向け交流イベントを運営している場で聞かせてもらった話の中で、聞くパターンのひとつがサバサバ系の彼女との恋愛がしんどいという悩みだ。
しかも、みんなひとこと目は決まって「彼女のことは好きなんですけどね」って言う。
…ほんとに好きなのか、それとも、もう離れられなくなっちゃっただけなのか、自分でもわかってないよね。
冷たいじゃなくて届かない
サバサバ系の彼女が冷たいわけじゃない、ってことはわかってる。むしろ気はきくし、変に依存してこないし、友達としては最高だったりする。
でも、付き合い始めると話が違う。
イベントで知り合ったある男性、Kさんの彼女は明るくてさっぱりした性格で、職場でも人気者タイプ。付き合って3ヶ月で、Kさんが「最近どう思ってる?」って聞いたら「うん、普通に好きだよ」って即答されたらしい。普通に好き。言葉だけ取れば十分なのに、なぜかKさんの胸にぽっかり穴があいた。
普通に、か…。
その「普通」が毎回の返事になっていく。誕生日のプレゼントに「ありがとう、助かる」、久しぶりのデートで「楽しかったね」、喧嘩の後も翌日にはケロッとしてる。感情がまるでリセットされてるみたいで、Kさんは、この人、実は俺のこと大して好きじゃないのかもとじわじわ思い始めた。
でも、確認するのも怖い。
聞いて「そんなことないよ」って言われたとして、それを信じられる自分がもう残ってないことに気づいてたから。
愛情表現が少ない=愛していない、は間違いだけど
愛着スタイルの研究では、サバサバ系の女性に多いのは回避型の傾向で、感情を表に出すことへの苦手意識が深いところに根付いている場合がある。
これは冷たさじゃなくて、感情を見せること=弱さという無意識の回路が働いてるんだよね。
だから、彼女なりに愛情を持っていても、言語化や表情や行動でそれを出すことが極端にむずかしい。スキンシップが少なかったり、記念日にあっさりしてたり、悩みを相談してくれなかったり。そういう表れ方をする。
ただ、正直に言う。
それが「理由」だとわかっても、受け取る側のしんどさは消えない。
あなたのせいじゃなくて、彼女の愛着スタイルの問題だよって言われて「ああ、じゃあ安心だ」ってならないんだよ、恋愛って。頭でわかっても、心臓はいつまでも同じ場所にある。
自分が「重い人間」だと錯覚させられていく怖さ
サバサバ彼女と付き合うと、気づかないうちに自己評価が削れていく。
Kさんもそうだった。付き合う前は「連絡マメじゃないほうがカッコいいよな」とか普通に思ってたのに、だんだん「俺、甘えすぎ?」「LINEしすぎかな…」「もっとドライに接しなきゃ」って自分を矯正し始めた。
感情ニーズがある自分を、恥ずかしいものとして扱い始めるんだよね。
でも、これは勘違いだよ。パートナーに感情的なつながりを求めるのは、人間として至極まっとうな欲求。心理学ではアタッチメントニーズと呼ばれる、基本的な安心の欲求で、それが弱いとか強いとかいう話じゃない。
「自分が重い」じゃなくて「ふたりの間で感情のやりとりが成立してない」が正確な状況だった。でもKさんはずっと前者だと思い込んでた。それが3年間積み重なって、気づいたら自分のことが全然好きじゃなくなってたって、ぽつっと話してくれたよ。
3年、か。
サバサバ彼女の「隠れた愛情サイン」は実在するけど、それで満足できる?
フォローしておくと、サバサバ系の人が愛情を示すとき、言葉以外のチャンネルを使うことはある。
体調崩したときにさりげなく薬を置いておく。忙しい日に「ご飯食べた?」とだけ送る。記念日は覚えてないふりして、実はちゃんとプレゼント用意してる。「言わなくてもわかるでしょ」という文化で育った人に多い愛し方。
これを「ちゃんと受け取れる人」には成立する関係。
でも、言葉で「好き」って言ってもらわないと不安が消えないタイプには、このサインは「気まぐれな優しさ」にしか見えないんだよね。
受け皿の形が違う、とでも言えばいいか。
別れたいのに、踏み切れない
別れようかなって思い始めてから、実際に別れるまでに何ヶ月もかかる人、めちゃくちゃ多い。
なんで踏み切れないのか。
よく聞くのが、情が深くなってしまった、彼女が悪い人ではないから、もしかしたら変わってくれるかもという期待。全部正直な気持ちだと思う。でもそれだけじゃなくて、もっとドロドロした理由もある。
怖いんだよ、別れるのが。
次に好きな人ができる保証なんてないし、もしかしたらもっとひどい人に当たるかもしれない。サバサバ系でしんどいけど、浮気もしないし安定してるし、いくつかの条件だけ見れば「いい彼女」だって認識もある。
失ったらもっとしんどくなる気がして、現状維持を選び続ける。
心理学では関係への埋没コストという概念がある。これまで費やした時間・感情・労力がもったいないという感覚を生み、客観的に見れば終わった方がいい関係でも続けさせてしまう。
ギャンブルで負けたとき、ここまで突っ込んだんだからって止められなくなるのと同じ。
Kさんは3年付き合って、さすがに限界だと感じ始めた頃にイベントに参加してくれた。「別れる理由が見つからないから別れられない」と言ってたけど、正直それは逆で、別れたい理由を探すのが怖くなっていた状態だと思う。
変わってくれるかもという期待が、一番消耗する
サバサバな性格は、感情の傷からくる防衛反応だったり、もともとの気質だったりする。どちらにせよ、恋人が「もっと感情的につながりたい」と思ったからって、すぐ変わるものじゃない。
変わることへの強い動機がその人本人の中にあって、かつ長期間かけて意識的に行動を変えていく、そういうプロセスがないと変化はしない。あなたが頑張っても、あなたが泣いても、あなたがサプライズをしても、それで変わらないのは、あなたに魅力がないからじゃない。
変わるかどうかは、その人の問題だよ。
Kさんは結局、彼女に思い切って気持ちを話した。こういうところが寂しいと伝えたら、彼女は黙って「そうか、わかった」とだけ言った。怒らなかったし、否定もしなかった。でも、翌週も翌月も、何も変わらなかった。
後悔しない別れの決め方
別れたあとに「あの判断は正しかった」と思える日は来るかもしれないけど、別れる瞬間に後悔ゼロの人は、ほぼいない。好きじゃなくなっていても、慣れた生活が終わることへの喪失感はある。
だから後悔しない決断を目指すんじゃなくて、「後悔が来ても受け止められる理由」を自分の中に持つことのほうが、ずっと現実的だよ。
Kさんが別れを決めたのは、「このまま続けたら、俺は彼女のことも嫌いになっていく気がする」という予感からだった。彼女への恨みより、自分の感情が腐っていく感覚のほうが嫌だったってさ。そういう考えもありだよ!

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