正直、最初にこの言葉を聞いたとき、少しだけ笑ってしまった。
いい男ほど彼女いないって、自分でいい男って言ってるじゃんって。でも、社会人イベントを何年も運営してきて、数百人規模の男女を間近で見続けてきた今は、あの笑いが恥ずかしい。本当にそういう男性、いる。ちゃんと存在する。
問題は、「いい男かどうか」じゃなくて、「何が彼女を遠ざけているか」を本人がまったくわかっていないことにある。
女性が思う「いい男」と、男性が思う「いい男」は別の生き物
イベントで、女性参加者と話すと、決まって出てくるパターンがある。
「今日のAさんって感じよかったよね」「え、でも自分からあまり話しかけてこなかったし…」「でもあの落ち着き感、いいじゃん」
ドキドキ、と一言で片づけてしまうのはもったいないくらい、女性の評価軸って複雑なんだよね。男性が思う「いい男」像、つまり年収・スペック・優しさ・誠実さ、そのリストと女性が感じる「いい男」の間には、かなりの距離がある。
男性にとってのいい男は、客観的なスペックで語られることが多い。仕事ができる、気が利く、清潔感がある。どれも正解なんだけど、それって採用面接での評価基準に近い。女性が誰かを「気になる」と感じる瞬間はもう少し感覚的で、「この人の隣にいると、自分がちょっと特別になれる気がする」とか「目が合ったとき、逃げなかった」みたいな、言語化しにくい瞬間に宿っている。
スペックは前提。でも恋愛の扉を開けるのは、スペックじゃない。
「いい男のまま」彼女ができない人の、共通したある行動
イベントで何度も会うBさんという男性がいた。清潔感があって、話を聞くのが上手で、気が利いて、場の空気を壊さない。参加者からの評判もいい。なのに毎回「彼女いるの?」と聞かれても「いないですよ〜」と笑って流す。
何度か一緒にいる場面を見ていて、気づいたことがある。
彼、絶対に自分から好意を示さないんだよね。
褒めるけど、惚れ込んだ感じは出さない。場を盛り上げるけど、特定の誰かを特別扱いしない。優しいけど、全員に同じ優しさを均等に配る。まるでいいホテルのスタッフみたいに、完璧なサービスを提供し続けている。
あ、これ彼女できないやつだと正直思った。
女性は、好意を向けられたとき初めて「この人を意識する」スイッチが入ることが多い。心理学でいう返報性の法則もそうだけど、それ以上に「自分だけに向けられた感」がないと、恋愛のステージには上がれない。Bさんの優しさは全員への優しさだから、誰も特別だと感じられなかった。
いい男であることと、特定の誰かを好きになることは、まったく別の話。
「いい男自覚」が、知らずに邪魔をしている
いい男だという自覚がある人、少し待って。その自覚、もしかして恋愛の場で「俺は選ばれる側」という無意識の前提を生んでいないか。
あるイベントで、Cさんという男性が参加してくれた。仕事もできて、見た目も整っていて、トーク力もある。実際に女性参加者からも好評だった。でも、数時間一緒にいてわかったのは、彼が「いい反応」をもらうことには慣れているけど、自分が誰かを好きになる感覚にはものすごく鈍いということ。
「俺のことちゃんと見てくれる人がいれば」という発言が何度か出た。
待っているんだよね。自分の価値に気づいてくれる人を。でも恋愛って、そういう仕組みじゃない。むしろいい男であるほど、周囲の女性は「この人には私より合う人がいるだろう」と勝手に遠慮してしまうことがある。高級レストランのメニューを「私なんかが頼んでいいのか」と躊躇する感覚に近い。
自分がいい男だという確信が強いほど、行動しない理由が増えていく。「向こうから来るはず」「雰囲気でわかるはず」。でも相手は、あなたが思っているほどあなたのことを考えていないよねぇ。
「いい人どまり」の正体
現場で見てきたパターンで、一番多いのがこれ。
気が利いて優しくて話しやすい。でも、デートには誘われない。「友達みたいな存在」として確定してしまう男性。本人は「なんで?」と首をかしげるんだけど、女性側の視点から見ると割とシンプルで、「ドキドキした瞬間がなかった」という一言に集約される。
安心感と緊張感は、脳が出す物質が違う。
恋愛初期のドキドキは、ドーパミンやノルアドレナリンが関係している。これは多少の不確実性や、予測できない展開から生まれる。つまり、完璧に気の利く、決して失敗しない、常に正しいポジションを取り続ける男性は、安心感は与えられても、脳を揺らすことができない。
イベント中に、女性参加者のDさんがぼそっと言った言葉が忘れられない。「Eさん、本当にいい人なんだけどね…なんか、ドキドキしないんだよね」と。その「ね」の語尾の軽さと、少し申し訳なさそうな表情。Eさんへの悪意はゼロだとわかるだけに、余計にリアルだった。
完璧な優しさは、時として女性の感情を揺らさない。
見落としていた「行動量」という単純な事実
ここまで読んで、「じゃあいい男をやめろってこと?」と思った人、違う。
変えるのは自分のスペックじゃなくて、動く量と方向。
現場で見ていると、彼女ができる人と彼女ができない人の差は、能力よりも明らかに行動の数に出てくる。「いいな」と思った人に、自分のことを知ってもらおうとするか、相手が気づいてくれるまで待つか。その差だけ、マジで。
Fさんという参加者は、自分のことを「特別スペックじゃないですよ」と言い続けていた男性なんだけど、毎回のイベントで必ず気になった女性に「今度ご飯行きませんか」と声をかけていた。成功ばかりじゃない。断られることもある。でも気づいたら彼女ができていた。
「動いたから」以外の理由が見当たらなかった。
いい男は、動かない理由を持ちやすい。失敗したくない、がっかりされたくない、余裕ある自分でいたい。全部わかる。でもその慎重さが、恋愛においては「興味がないサイン」として受け取られている可能性がある。
自己評価と他者評価のズレを知ること
「自分はいい男だと思う」と「周囲がそう思っている」は、同じじゃない。
この当たり前のことを、恋愛の文脈で受け取れていない男性は思ったより多い。自分への評価が高い人ほど、フィードバックを求めない。「わかる人にはわかる」と思いやすい。でも恋愛って、わかってもらうための働きかけが必要な場面がある。
イベント中に女性から「◯◯さんってどんな人?」と聞かれたとき、答えを持っている男性は強い。「仕事は◯◯で、休日は△△してて、最近□□にはまってる」みたいに、自分を言語化できる人。これって、自己分析というより、「相手に自分を渡す練習」だと思ってる。
いい男が恋愛で活きるのは、相手に渡す自分のパーツが多いとき。スペックじゃなく、自分のテクスチャーを丁寧に見せられるかどうか。

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